親(被相続人)は遺言書がなくても相続で揉めることはないと言っていますが,そうでしょうか?
相続が「争続」とならないよう,遺言書の作成をお勧めしています。
1 本当に揉めないの?
遺言書を作らなくても,相続で揉めることはないと思いこんでいる方は意外とたくさんいます。
しかし,いざ相続が発生してみると,相続人によって被相続人から聞いている内容が違っていたり,誰かが独り占めしようとしたり,相続人同士で揉める要素はたくさん出てきます。
2 作成しないと思いは伝わらない
言葉で話しただけの内容だと,記憶違いや,思い込みなどにより,かえって相続人間に争いを生じさせる場合もあります。
高齢になると,被相続人自身もその日の気分で違うことを話したり,相手によって違うことを話すこともあるので,相続人達はますます混乱します。
3 簡単なメモ書きでもいいの?
大切なことは,誰が読んでも一つの意味にしか読めない遺言書を作ることです。
例えば,「自宅の土地は,子ども達が仲良く相続すること」と書かれたメモがあっても,自宅の土地が数筆ある場合には,どこを指しているのか分からないですし,誰が相続するのか記載されていなければ,子ども達にとっては意味がありません。
「●●市●●町●●番地所在の土地は長男に相続させる。」「●●市●●町▲▲番地所在の土地は次男に相続させる。」と一義的にしか読み取れない文章でしっかり作成することが必要です。
4 遺産分割協議には時間がかかることも
遺産分割協議にかかる時間は事案によって様々ですが,相続人がたくさんいたり,話し合いがうまくいかないと,解決までに何年もかかってしまう場合もあります。
5 相続をきっかけに疎遠になってしまう相続人達
相続人達にはその後も親戚づきあいが残っていますが,相続の問題がこじれてしまうと,不和の種を残したまま疎遠になってしまうこともあります。
以前は仲が良かったのに,相続がきっかけで全く付き合いがなくなる例も珍しくありません。
6 相続人達に禍根を残さないために
相続を争続にして相続人達を不和にさせないためには,安易に「揉めないだろう」と考えず,遺言書を作成しておくことが重要です。