高齢の人でも遺言書が作れますか?
高齢の方のニーズに応じた作成方法があります。
1 文字が書けない
ご高齢で自署できない場合には,公正証書遺言の作成をお勧めしています。
自筆証書遺言の場合には全文を自書し,署名押印しなければならないのですが,公正証書遺言の場合には公証人がワープロで打ちだした遺言書を用意してくれるので,必要なのは署名・押印だけです。
また,署名ができない場合には,公証人が本人の意思を確認のうえ,公証人に代署・代印してもらえます。
2 弁護士事務所や公証役場に行けない
お打合せの際,ご本人様が弁護士事務所にご来所できない場合には,状況に応じて弁護士が出張させていただくことができます。
また,公正証書作成の場合でも,公証人にご本人様の自宅や入所している施設に出向いてもらうことができます(但し,定められた出張費が必要となります。)。
3 後々遺言の有効性が争われないように
ご高齢の方が財産を特定の相続人に集中させるような内容の遺言書を作る場合,相続発生後に,他の相続人から遺言無効確認請求がされ,遺言書の有効性が争われる可能性があります。
遺言書を作成するためには自分の財産を処分することができるだけの能力が必要ですが,作成時にご高齢だった場合には他の相続人から「認知症で何も分からないのに無理やり書かせた」など言われる可能性があるので,注意が必要です。
せっかく作った遺言書に後で文句を言われないように,事前に主治医に相談したり,ご本人様が自分の意思で作成したことが分かるような証拠を残しておくことが大切です。
4 成年後見人がついている場合
なお,ご本人様に成年後見人がついている場合には原則として遺言はできませんが,民法が定める一定の場合(民法973条)には有効に遺言をすることができます。