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自筆証書遺言と公正証書遺言どちらで作ればいいですか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2020年7月8日

1 手書きで全文書けるかどうか

自筆証書遺言と公正証書遺言の一番の違いは,遺言書を手書きで書く必要があるかどうかでしょう。

非常にシンプルな内容(例えば,「遺言者の全財産を長男・山田太郎に相続させる」)であれば,書くのは大変ではありません。

しかし,分け方を詳しく書きたい場合に,自筆で書くのは字を書くのが億劫でない人でも抵抗感があり,ましてやご高齢の方にはかなりの負担です。

また,ご病気などで字が書けない方であれば,そもそも自筆証書遺言を作成するのは無理でしょう。

公正証書遺言は,遺言の全文を公証人がワープロで作成してくれますので,遺言者は署名・押印するだけです。

また,署名・押印ができない場合には公証人が意思確認のうえ,遺言者本人に代わって署名・押印をしてくれます。

2 検認が必要かどうか

自筆証書遺言は,遺言者が逝去したあと,速やかに家庭裁判所に検認(相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせ,遺言書の状態を確認する手続です。詳しくは「遺言の検認とは 」をご覧ください。)の申立てをしなければならず,検認の手続きをした遺言書でなければその後の相続手続きをすることができません。

一方,公正証書遺言はそのような手続きをしなくても,相続手続きをすることができます。

3 保存の問題

公正証書遺言は,作成後,原本が公証役場に保管され,遺言を作成した本人には正本・謄本が手渡されます。

一方,自筆証書遺言は,従来は,自分で保管するか,家族に頼んで保管しておいてもらうかでしたが,新たに法務局における自筆証書遺言書保管制度が創設されました(参考リンク:法務省サイト・法務局における自筆証書遺言書保管制度について )。

4 手軽さ

自筆証書遺言は,自分だけで作成ができるため,思い立ったときにすぐに作成できるという手軽さがあります。

また,内容を変えたくなったら簡単に作成し直すこともできます

公正証書遺言は公証人に連絡して作成しないといけないですし,公証人に決められた手数料を支払うので,何度も書き直すのは大変です。

5 作成する人のニーズに合わせて

これら自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴を踏まえて,あとは作成する方の状況や健康状態に合わせて適切な遺言書の形を選択するのがよいでしょう。

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様々な遺言の方式

遺言は,書き方について法律上一定のルールがあり,それに反する遺言は無効と判断されてしまうことがあります。

遺言を作成する場合には,適正な方式がどういうものであるかを理解し,細かくチェックする必要があります。

法律の定めに従った方式には「普通方式」が3種類と,「特別方式」が2種類あり,それぞれの方式にメリット・デメリットがありますので,状況に応じた方式を選択することも大切なポイントです。

普通方式遺言には,自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つの種類があります。

自筆証書遺言とは,遺言書を書く人が遺言の全文・日付・氏名を自書し,押印して作成する遺言です。

すぐに作成できますので一番お手軽で簡単な方法です。

さらに,内容を秘密にできるというメリットもあります。

しかし,内容に不備があった場合は無効になる可能性がありますし,そもそも遺言の存在を遺族が気付かない場合や,遺族が遺言を秘匿してしまうという可能性もゼロではありません。

公正証書遺言とは,公証人に作成してもらい,原本を公証役場で保管してもらう方式の遺言です。

公証人が作成・保管に関与しますので,確実性が高いといえます。

デメリットとしては,内容を自分だけの秘密にできないことや,ある程度の費用が掛かることがあげられます。

秘密証書遺言とは,遺言者が遺言を記載し,自書・押印をしたうえで封印し,公証人役場に持ち込んで保管を依頼するものです。

こちらも費用が発生します。

遺言の内容をだれにも知られることなく作成できますが,内容について専門家のチェックを受けるわけではないので不備があって無効になってしまう可能性も考えられます。

特別方式遺言は,普通方式遺言をすることができない特殊な状況の時にのみ作成することの出来る略式方式です。

「危急時遺言」と「隔絶地遺言」の2種類があります。

どちらにしても,内容をよく検討し,納得のできる遺言内容を弁護士などの専門家と相談して「遺言書」を残しておくことが望ましいといえます。

当事務所では名古屋駅近くに事務所を構えており,名古屋近郊にお住いの依頼者様にご相談にお越しいただくのに大変便利です。

まだ元気だから遺言の作成は早いのでは?と思わず,むしろお元気なうちに一度じっくりとお考えいただくのが良いように思います。

当事務所にご相談いただきましたら,相続問題を得意とする弁護士がアドバイスをさせていただきます。

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