遺言書における弁護士と行政書士の違い

１　弁護士と行政書士には違いがある

遺言書の作成は、①遺言書の内容に関する法律相談、②遺言書の原稿の作成、③正式な遺言書の作成というのが一般的な流れです。

このそれぞれの段階で、弁護士と行政書士ではできることが異なります。

この記事では、遺言書の作成における弁護士と行政書士の違いについて解説します。

また、以下のリンクも参考にしていただけるかと思います。

法律相談を行うことができるのは、弁護士だけです。

行政書士は行うことができません。

ただ、正確に言いますと、「有料」の法律相談を行うことができるのは弁護士だけで、「無料」の法律相談であれば行政書士も行うことができます。

行政書士の中には、②の遺言書の原稿作成が有料なのであって、遺言の内容に関する法律相談は有料で行っているわけではないなどと主張する事務所もあるようですので、注意が必要です。

これは、弁護士も行政書士も行うことができます。

弁護士であれば、ご依頼者様のご希望やお悩みを伺いつつ、法律相談を受けながら適切な原稿を作成することができます。

それに対し、行政書士はあくまでもご依頼者の方に言われたままの原稿を作成することができるにすぎません。

また、相続に詳しい弁護士であれば、どのような内容の遺言書が裁判でよく争いになっているのかを熟知しています。

裁判を行うことができるのは弁護士だけですので、この点でも行政書士と異なります。

自筆証書遺言であれば、ご依頼者様自身に作成いただくことになります。

公正証書遺言であれば、公証人が作成することになります。

この点で、弁護士と行政書士の権限は異なりません。

ただ、相続に詳しい弁護士であれば、どのように遺言書を作成すれば裁判で遺言無効を争われにくいかなどの作成方法に関するアドバイスもできます。

他方で行政書士の場合、上述したように依頼者の方の意向に従って書面を作成することができるに留まり、内容面へのアドバイスを行うことはできません。

この点も、裁判に精通している弁護士ならではの特徴であり、弁護士と行政書士との違いであるといえます。